ゴジラ 暴れまくる in 銀座。
それ以上でもそれ以下でもない。
ゴジラ×「永遠の0」のコンセプトが良かったのかどうか。
「永遠の0」が真に迫った大好きな映画だけに、元零戦乗りの葛藤を主軸にした人間ドラマ部分の二番煎じ感と作り事めいた感じに、妙に乗り切れなかった。
映画は作り物だ。
その作り物の中に垣間見える真実に人は涙する。
この映画では、実際にあった戦時の未曽有の人災と、架空のゴジラの未曽有の災害を掛け合わせて「-1.0」というコンセプトにしたのだろうが、それが余計に作り物感を増し、そのマイナスの掛け算の逆境から再生しようとする人間たちの想いや、叫び泣く役者陣の熱演が胸に迫ってこない。
特に神木君演じる主人公の、戦時零戦の特攻で出動しながら故障を偽り生き残った男の再生のドラマが描かれるのだが、こやつがうじうじキナキナし続けていてこれまた感情移入できず、最後の最後で逃げないと覚悟するまでが冗長で見ていて辛い。
他の役者陣も熱演が過ぎて空回りする。でも、この大袈裟な芝居合戦の中でピタリとハマっていた佐々木蔵之介は、昔の黒澤映画を観ているようで良かった。
だから、私にとってこの映画は、少々厳しい意見にはなるが、人間ドラマには感情移入できず、ただひたすらに「ゴジラが銀座で暴れ倒す約8分間」を心待ちに待ち続け、残りの117分を耐え忍ぶ映画とも言えた。
そんな、なかなか感情移入し辛い人間ドラマを見ながら、待ち続けるはゴジラの登場シーンに尽きる。
①冒頭、島で暴れるゴジラ ※ゴジラの恐ろしさが迫る。
②日本に初上陸して暴れるゴジラ ※ワクワクする。
③銀座を破壊し尽すゴジラ。 ※おーーーー凄い!!!!
④海で水圧変化作戦にやられるゴジラ。※シン・ゴジラ的既視感な展開
この①~④でやはり圧巻なのは③のシーン。
この場面を最大限堪能するためにIMAX2600円を賭けた価値がある。
ゴジラの咆哮が身体に響き渡るこの感覚。最高だ。
それ以外の作り事感が強い空回り人間ドラマを我慢して乗り切れば
その瞬間はやってくる。
ぜひ、劇場で、できればIMAXで、銀座破壊ゴジラの迫力を体感して欲しい。
その価値がある映画だ。
日本代表VFXクリエイターの山崎貴監督の真骨頂はそこにある。