ヤンデル

ゴジラ-1.0のヤンデルのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
-
・ラストカットで典子の首筋に黒いアザのようなものがあるように写し出される。これが何なのか明らかにされていないが、実はゴジラのG細胞が図らずも取り込まれたために、瀕死の状態から細胞の再生によって生き残ることができたのではないかとネット上では考察されている。原爆からの放射線のイメージとも考えられる。

・銀座が襲われたあとの黒い雨も原爆のあとの放射性降下物を象徴していると考えられる。

・山崎貴監督の前作「永遠の0」や「三丁目の夕日」の要素も見られるが、特に「永遠の0」には特攻隊が機体の故障を理由に生きて帰ってくるシーンが含まれている。「続・三丁目の夕日」では冒頭で瓦礫となった昭和の街を進むとゴジラが現れるシーンがある。

・初代ゴジラでは芹沢博士が「オキシジェン・デストロイヤー」という兵器で自らを犠牲にしてゴジラを倒すが、これに似たような兵器が登場し、また芹沢が自己犠牲を選んだのは「自らと共に戦前という時代を終わらせたい」という覚悟を持っていたためであった。本作でも、主人公の敷島は戦前の出来事のトラウマに苛まされており、「戦前を終わらせたい」という思いに囚われている。

・典子が「パンパンにでもなれっていうの?」と敷島をなじるシーンがあるが、パンパンとは、在日米兵を相手とした当時の娼婦のこと。敷島がボロボロの実家近くを歩いたときも、派手な服装の女性が歩いている。

・実際の日本劇場や銀座の時計塔は戦後ほぼ無傷で残っていた。ゴジラがそれを破壊してしまうことがゼロからのマイナスを象徴している。日本劇場と銀座の時計塔は初代ゴジラでも破壊されていた。また初代ゴジラは電車を襲って客車を咥えているシーンもある。

・銀座の破壊シーンではクレジットなしで橋爪功が出演しているが、これは神木隆之介からの依頼でのカメオ出演だったという。

・戦闘機「震電」は零戦が敵国に研究されたあと、投入される予定だった革新的な戦闘機だったが、1945年8月3日の試作機1機の飛行テストのあと、実践投入をまたずに終戦を迎えた。

・ゴジラのテーマが今回も扱われている作曲家の伊福部昭は戦時中に作業中に放射線を浴びて血を吐いた経験を持つ。

・冒頭の大戸島は実際は架空の島だが、初代ゴジラで最初にゴジラが上陸した島であり、地元に伝承する神の言い伝えから「呉爾羅」、ゴジラと呼称されていた。

・ゴジラが放射熱線を出す前の背びれが順番に飛び出すが、これは原子炉での制御棒を模していると考えられている。

・ワダツミ作戦はフロンガスによってゴジラを深海に沈めるという内容だが、フロンガスは海底200mで気化した状態を保てないので、実際に実行すると200mで泡が止まってゴジラを沈められないという。
ヤンデル

ヤンデル