ヤンデル

千と千尋の神隠しのヤンデルのレビュー・感想・評価

千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)
-
・宮崎駿は書籍「ジブリの森とポニョの海」のインタビューの中で「銀河鉄道の夜」を意識していることがわかる。「銀河鉄道」との共通点はいくつか挙げられる。

「銀河鉄道」ではカンパネルラは川に溺れた少年を助けるために死ぬが、千尋も川に溺れたところを助けられる。
列車が登場し、千尋も黄泉の世界のような中を旅する。
アニメの「銀河鉄道」では、タイタニック号から溺れ死んだ子供が靴を片方失う描写がある。

・ハクは千尋を助けるために亡くなった兄ではないか?との説がある。その根拠は千尋が溺れたことを回想するシーンで半袖の手が下に伸びる(千尋は裸になっている)ことを発端としている。また、母親が冒頭で千尋に冷たいこと(聡明な兄を死なせてしまった?)の説明にもなるが、単純に川の神と捉えることも出来、真相は明らかではない。

・冒頭では、鳥居や神々のほこらが道の隅にやられ、その奥の石畳を千尋たちの車が乱暴に進む導入が描かれる。トンネルの入口ではこの不吉さを千尋は感じており、入ることを拒否している。トンネルを出るときは草がうっそうとしげっていることから、この冒頭のトンネルの入口の時点で幻を見ているか、千尋が出たときにはかなりの時間が経っていたと考えられる(車にもほこりが積もっている)。

・最後に千尋は豚になった両親がなぜ区別できたのかは謎になっているが、宮崎駿は書籍のインタビューの中で「あれだけの経験をした千尋はわかるようになっている。論理が成立していない、スキマがある部分は観客が埋めれば良いのであり、そんなことに費やす時間はない。」としており、特に説明がないことがわかる。

・カオナシは本来、油屋に入れないが、千尋が「ここを開けておきます」と言ったことで招き入れてしまう。誰かに招き入れられると入れる、という設定になっている。

・龍になったハクがハンコと共に虫を吐き出すが、これは錢婆(ぜにーば)は自分がつけたものではないという。実際には湯婆婆(ゆばーば)が仕掛けたもので、ハクが錢婆の方に行くと発動する虫となっていたとこがわかる。

・エンディングで「おわり」と表示されるクレジットでは、背景は濁流に流された千尋の靴が描かれている。これはハクに助けられたこと、誰かの助けによって行かされていることを強調しているようにも捉えられる。実際、千尋は怖い思いをするが、リンや釜じい、ススワタリたち親切にされ、なんとか状況を乗り切る物語になっている。
ヤンデル

ヤンデル