ノラネコの呑んで観るシネマ

ソフト/クワイエットのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

ソフト/クワイエット(2022年製作の映画)
4.7
これは凄い。
ブラムハウス制作の異色ホラー。
幼稚園教諭の主人公は、街の女性たちと「アーリア人の団結をめざす娘たち」なる団体を立ち上げる。
序盤の30分は、教会で開かれる和気あいあいとした最初の会合。
しかし帰り道、アジア系の姉妹と口論になったことから、事態が急速に動き出す。
白人至上主義団体を作ろうって時点で分かっちゃいるが、全員が凄まじいバカで、状況判断が全く出来ない。
彼女らの戦略は「優しく(ソフト)、静かに(クワイエット)」思想を広めるはずが、一気にタガが外れて突っ走る。
しかも悪いことに、グループの中に元犯罪者でアジテーター気質の若い女がいるんだな。
日本のネトウヨなんかにも共感するが、この手の人たちの基本は「自分の不幸は他人のせい」だから暴走させるのは簡単だ。
シチュエーションは違えど、トランプ落選で議会に突撃した連中も、こういうメンタル状態だったんだろうなあ。
目先の行動の結果、自分が近い未来にどうなるかまで頭が回らない。
デジタル移行後全編ワンショットを売りにする映画は増えたが、これは92分間彼女らの一人になったかの様な臨場感。なりたくないけど。
バカすぎるがゆえに、映画が終わった後に起こることも全部想像できる。
舞台がワイオミングって辺りも、背景的に上手いところを狙ってると思う。
分断の時代が生んだ怪/快作だ。
ブログ記事:
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