このレビューはネタバレを含みます
是枝監督作品で坂本龍一氏の遺作?で気になったので。
あと途中ちょっと数分見れなかったのでそこが抜けての感想になります。
・最初、母親の視点。子がいじめにあってるということに心配しへらへらしてる学校に怒る母というパート。このへんはまあ学校と教師の闇的なやつなんだなと思って見てた。安藤サクラさんの演技が鬼気迫ってて迫力ある。
・保利先生の視点。学校側が対応する上で色々隠蔽しようとしてて先生はそんなわるくなかったんですよーってパートなんだけど母視点と保利先生キャラ違いすぎないか?別の人が脚本書いたのか?と思った。いや子の問題に奔走する母親からバイアスがかかって見えてたという演出って線はあるけど人前で飴舐めるとかシングルマザーあるあるとか問題発言するような人格には全然見えない。あととにかく運命の出目が悪いこの作品一番可哀想な人だった。彼女の初登場からこいつ絶対ろくなやつじゃないなって雰囲気すごい。
・一番尺の長い子供達2人のパート。ジュブナイル的な…と思ったらそういうのだった。もう雰囲気がそれすぎるし星川くんは魔性だな…って思ってたらめっちゃ近いな…えっ!するのしちゃうの!?しなかった…と思ったらやっぱそうかい!っていう。星川くんの子の色っぽい演技凄すぎ。最後は何も問題解決してないけど2人の関係はラストシーンのように晴れ渡っている…って感じで締めてたけど母から子への想いも先生の教え子を思う気持ちも全部この2人の関係の下ごしらえでしかなかったのかな…?って思った。母親と先生が2人を台風の危険の中秘密基地に行って見つからなかったで終わってから子供達のパートに入って伏線回収でしか出番なかったからそこらへんもやっとした。
・舞台になった諏訪がロケ地として住宅街や中心街の綺麗さと建物の古びた汚さとドラマに必要なだけの自然の緑があってこういう話に丁度良すぎて凄い。諏訪湖映すだけでもう間が持つし。
・いじめっ子役の子の顔のいじめっ子感強すぎる。見てるこっちが辛くなるくらい。
・みなとの隣に座ってる大人びた女の子って絶対話引っ掻き回すだろ感は異常。なんかよくマンガ読んでてよく見えなかったけど感想漁ると表紙がBLらしい…?だとしたら作中での行動はそういう…?
・全体通してみるとなんか悪い登場人物ほぼ女性だな…でも一番悪いのは依里の父親の中村獅童だけど。こいつに関しては何の掘り下げもないし。母親は子の事を心から心配するけど「結婚し普通の夫婦に」、先生は教え子を想うけど「男らしく」という言葉を多様する。人は人を心から想うけど価値観を押し付ける事もあるみたいなメッセージが強いかなー。まあ人間は自分や他人にとっての最善を尽くしてるつもりでも全員誰かにとっての「怪物」になり得るという事かなぁ。
・冒頭から始まるビル放火の事件が話の軸になるのかなと途中まで思ってけどそんな事はなかった…そんな事ある?それでいいのか?…まあいいんだろうな。事件後依里がチャッカマン落としてミスリードとかなかったから犯人は衣里だったで終わり?放火してあんな飄々としてるのは怪物度高いね…。
予告のサスペンス感がほぼ途中からないというかメインが男の子同士の関係性の割合が多すぎてこれどうなんだ?とは思った。母から子への愛も学校と教師の闇もフレーバーでしかない?でも校長先生はかなり悪いけど湊へのセリフはキャラクターへの影響と作中のテーマへの言及として良かった。一番のねらいは大人も本気で子供の事考えてるけど子供達2人の世界には関係ねえ!って事なのかなあ。明らかに秘密基地とか生まれ変わりの話とか2人だけの閉じた世界を感じたし。悪い人間は出てくるけど裁かれない。まだ沢山問題があって全部解決したわけではない。あのあと湊と依里には大きな問題が襲ってくるが2人の仲という問題が一つ終わりこれからいい方向に向かっていけばいいな…という締め…と自分は感じた!としかいえない終わり方。役者さんの演技やセリフの言葉選びや間、カメラワークとか音楽の演出は凄い。そこに関しては掛け値なしの芸術を感じた。