被害者と加害者、不倫した人とされた人…分かりやすい二項対立と理解しやすくて奇異な目を引き寄せる情報は、自分たちの周りにいくらでも湧くようになってしまった。
今は自分にとって都合の良い真実を選べる時代で、真実の選択というのは考えずに済むからとても楽な行為ではあるのだけれど、誰かが発した声は聞こえなくなり、やがて傾聴する気も失せていくのだろう、と。
この映画に潜む「怪物」は自分の結構近くに、いやだいぶ肉薄した存在でありながら、悪を呈したような分かりやすい特徴を持つものではないので、見えるようで見えない存在だと思う。
かなり抽象的な言い方になってしまったけど、具体的に言うと、容易い手段に頼ること、理解しやすい情報を受け入れてしまうこと、こういったものが自分らを怪物にしてしまうのではないかと。
あくまで自分の解釈なので、怪物は他にも様々な側面があるだろうとは思う。その側面を確認するために、またこの映画を観たいと思えた。
