「怪物」って、よく考えたら「怪しい物」と書いて怪物だから、恐ろしいものというよりも、得体が知れなくて不気味な存在であると理解する方がフィット感があるなぁと途中で気づきながら。またちゃんとした言葉の起源は知らないけど、でも意識を感じる相手に対して「者」ではなく「物」を使って「怪物」と表現するのもなんかそういう不気味さみたいなのを潜在的に感じますね。
もちろん、こう思ったのも映画観てて、この映画が定義する「怪物とは？」と考えてたらそういう風に感じさせられていったからですけど。
そんなタイトルのように、人の「多面性」が段々不気味に感じさせられる。学校での自分、家での自分、職場での自分、特定の相手の前での自分、それぞれみんな違うのが当たり前なはずなのに。一貫し続ける人なんていないはずなのに。校長が戦略家な一面を見せてくると、床にこべりついたゴミを取る姿ですら計算か？と思わされたり。というか、今回は校長が大好きだわ自分。
そして次第に、気付かされる。「これは逃避行だったのか」と。たしかに振り返ってみれば、最初からこれは心中物語だったのかもしれない。理解なんて求めていないけど、理解されなければ抑圧される小さな世界の中で、理解されることのなかった2人の物語。
あとやっぱりセリフいいな！！！！！
大人たちの動きとかが、割とこういう物語のテンプレート的な動きをしがちではあるものの、そこに乗っける言葉がそのテンプレートを回避させてるなって思う。相手が何か隠し事してきてるのが前提、何か思ってるのが前提で言葉を選んでる。
特にさ、「楽しかったですか？嬉しかったですか？」ってエグくね？？？？あそこで、悲しかったですか？とか言ってたら陳腐なものになりかねなかったでしょうし。しかも言うなら、あの後に「校長が轢いたかも疑惑」が出てくるわけじゃないですか、そしたら「嬉しかったですか？」っていう言葉が、もしかしたら安藤サクラが無意識のうちに的をついていたのかもしれないとかまで考えられるなぁとか。
あとは校長の紙を抑える安藤サクラのところ、「怪物」ってタイトルもあってすごいドキドキした。安藤サクラが下にいて、大きく上に校長が居る。校長が王みたいに見える。
