いしんじ

ミッドナイトスワンのいしんじのレビュー・感想・評価

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)
1.9
「トランスとして生きる男性」「人生経験豊富で貫禄のあるパブのママ」「乱れた生活の母親」「お金持ちの親と窮屈に感じる娘」「"虐げられる側"の人間」など、それぞれの人間の使う言葉や行動にそれぞれの型が存在していて、そこから抜け出すことは無くその型通りに動く人間たちが物語を進めていっているように感じる。だから、誰も人間味が無い。

「人間」を主軸にしている物語で、人間味のない人達が苦しいと叫んでいても、人間味のない人達が心を通い合わせても、人間味のない人が人間味のない人を弾圧しても、作り手の理想のなぞり書きをしているようにしか感じれない。

"母親になっていく"という過程における"母親像"でさえも決まりきった型を感じるし、"出会いにより成長していく"という流れも、人物の中の変化ではなく「変化するという型」が存在しているということをどうしても感じてしまう。

型がダメというより、感じさせられると一気に冷めてしまうものだし、それがほとんどの場面で感じさせられてたからただただ感情が映画と乖離していくだけだった。
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