野を駆けるシーンが印象的だった。前半、安藤サクラの声が不快にさせる。あれは狙いなんだろう。中盤から事実を知り、私たちはその反省をしながら後半を見なければならない。そして最後、野を駆ける子供を表すaquaに救われる。タイトルのせいで、中盤からの観者へ反省を強いることに焦点がいってしまっていないか。それより、この映画は終盤の子供がすごく美しい。終盤を引き立てるためのそれまでにしては、強すぎる。脚本をリスペクトしすぎたのか、映画とドラマの違いなのか。端々に単純さがあって、観者の思考を誘導しているようにも思えた。晩年の坂本さんのピアノの音色のように美しさは儚く尊くて、技術による強さ(密度)に引けをとったように思う。もう少しあの美しさを見たかった。
