複数の視点から少しずつ真相が見えてくるミステリー的な構成は、あまりにミスリードを狙いすぎていて乗れない部分が多々ありましたが、そうは言っても先が気になってしまうという点では成功していたように思います。
見えている面だけですべてをわかった気になってしまうことの危うさに向き合わせようという意図もよく分かります。
さまざまな問題を扱う作品なだけに、中途半端に主張することを避けたのかもしれませんが、どの問題に対しても強く踏み込むことはなく、結果としてボヤけた印象になってしまったのは残念なところ。
嫌なことはみんなトロンボーンの音でかき消しているうちに、果たして嵐は過ぎ去ってくれるのだろうか。