なお

ミステリと言う勿れのなおのネタバレレビュー・内容・結末

ミステリと言う勿れ(2023年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

「ミステリと言う勿れ」待望の映画化。

相変わらず原作は未読だけれど、漫画版の方ではかなり評判が高いという「広島編」を題材としているということで期待大。

物語の舞台である広島県はもちろんのこと、同じ中国地方の岡山県、また関東近郊では群馬県や千葉県・神奈川県などでも大々的な撮影が行われた。

✏️乾く前のセメント
先ほど申し上げた通りそれなりの期待を込めて見に行ったんですが、なんか…想像以上にすっげえモン見ちゃったなぁ、という感想。

単身広島旅行に来ていた久能が
「久能整くん、力を貸して」
この一言で地元の名家の遺産相続に巻き込まれる…という「巻き込まれ系」なプロットはこれまで通り。

しかしその後久能、そして我々観客に提示される謎は紛れもなく「シリーズ最大級」。

序盤に提示される数々のアイテムは、相当の知識がなければ推測すら不可能、マジに分からないガッチガチの「謎」。
しかし物語が進むにつれ登場するキーアイテムやキーワードで事件を解決に導いていく。

この日は自分のアタマの回転が珍しく良く、久能と共にあーでもない、こーでもないと色々と推理を組み立てていたのだが、劇中の登場人物たちの解説と共にこの「アタマの中の謎」がほぐれていく感覚は実に快感。

また全体的なテンポが素晴らしく良く、2時間の映画を見た後とは思えぬ疲れの残らなさ。

しかしながら「遺産相続」という人間のイヤ~な部分が出まくる要素を題材としたストーリーは、過去に久能が解決してきたどの事件よりも血生臭く、生々しく、そしてエグい。
「乾く前のセメント」を例えとした久能の語りや、犯人のサイコパスっぷりも圧巻。

この、胃と心臓にズシリと来る重みとテーマ性とテンポの良さが同居した実に稀有な作品で、自分のような原作未読者はもちろん、原作ファンもこの出来には満足されるのではないだろうか。

ただ唯一…!気になった点を書きますね。

物語序盤~中盤。
植木鉢が落ちてきた、階段に油が塗られていた…といった工作が実は汐路の自作自演であったことが発覚するが、
「子どもはいたずらをするものですから…」の一言で特にお咎めなし。
再度遺産相続の謎を親族と共に解き明かしていくことになる。

… そ う な ん ?🤔

真冬の広島で人を倉庫に閉じ込めたり、錆びた短剣を地面に仕込んだり、下手をすれば命を失いかねないギミックの数々。
狩集家の呪縛、そして汐路が抱える暗い過去によって心神喪失に近い状態だったのかもしれないが…今一つ釈然としない展開だったことは否めない。

百歩譲って警察に突き出したりはしなくても、共に遺産相続の謎を解決する「仲間」としては見られないなぁ、自分だったら…

「原作でもそうだから」
と言われればまあそこまでなんですけどね…

☑️まとめ
ともあれ、今後につながりそうな伏線が改めて張られたりもしたし、少しケチをつけたくなる展開はあれど総合的な満足度は実に高い作品。

久能の活躍によって狩集家の遺産相続を巡る謎は解決したけれど、まだ我々には解決できていない最大の謎がある。

本作最大の謎、それはスタッフロールにクレジットされていた「ダンディ坂野」はどこにいたのか、ということですよ。

<作品スコア>
😂笑 い:★★★★☆
😲驚 き:★★★★★
🥲感 動:★★★★☆
📖物 語:★★★★☆
🏃‍♂️テンポ:★★★★★

🎬2023年鑑賞数:91(43)
※カッコ内は劇場鑑賞数
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