Kapporiya49

マイ・エレメントのKapporiya49のレビュー・感想・評価

マイ・エレメント(2023年製作の映画)
4.0
確かに子供向けであり、吹替版のシアターはちびっこだらけ。
しかし、おじさんが観たって映像的にずっと楽しい。

もはやPIXAR作品では映像が凄いだけでなく、何か新しいチャレンジをするというのは当たり前の大前提なのだが、ずっと火族はメラメラ、水族はポチャポチャ、空気族はフワフワ、土族は...まぁまぁだけども、その映像表現を通して魅せてるだけで凄くね?と思う。
そんな各種族が行き交う街中の表現を観ると、製作段階でめっちゃパワーがあるPC使ってそうだな、なんて考えてしまった。

さらにそれぞれの元素の要素を、種族の特徴として感情的かつユーモアに溢れた表現にしていくのが面白い。
火は怒りっぽく、水は涙もろい、空気はせっかち、土はおっとり。それが欠点でもあれば美徳でもあるバランス。見事。

火族はマイノリティ(背後で流れる音楽からインド系を意識せざるを得ない)、水族は白人を中心としたマジョリティを描いているのかなと思いきや、英語吹替では主役の火女エンバーは中国系女性 (Half of It!)、水男ウェイドはアフリカ系を起用していて、そんな簡単な邪推は許さない布陣。
でも明らかに、火族は他の種族に迷惑をかけてしまうという理由で、反対に見れば火族にとっては住みにくい街であるという視点は無視されて、差別されている。

しかしそこはPIXARで、火族の反抗だ!とはならないし、ただ単にマイノリティ可哀そう差別よくないという話だけでは終わらせない。
さらに踏み込んで、個々の「ふれ合い」が積み重なれば互いを理解し合えるし世界は変えられる的なメッセージで帰着する。

おじさんとしてはPIXARとはいえもう少し毒っ気がほしいなと思ってしまう手堅いストーリーではあるけども、映像のクォリティとの食い合わせはバッチリだなと思った。



しかし、余りにも字幕で観られるシアターが少ない。
外国人が溢れかえってる今夏の東京ですら、字幕で観れる機会が少なすぎるとはこれ如何に。
私は特に海外アニメの吹替版には「ほんとにそんなこと言ってます~?」と疑念を抱いてしまう質なので、字幕でもう一度観るか考え中。
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