Kapporiya49

チャレンジャーズのKapporiya49のレビュー・感想・評価

チャレンジャーズ(2023年製作の映画)
4.8
待ちに待ったグァダニーノの新作!
とはいえ、3サムはともかく(いやいや経験はないけども^^;)、テニスものって世間的には面白くてもNot for meなのでは?という一抹の不安があったのですが、無駄な心配だった。


あいも変わらずグァダニーノの視点が独特すぎる。
思わず顔を避けてしまうくらいに、何度も観てるこちらにボールが打ち込まれる!
3Dだったらもっと迫力あるかも?なんて思っていたら終いにゃ視点がボールになる!ナニコレ!?
とにかくテニスをプレーしてるシーンはそこから撮るか!今度はそう来るか!そう動くか!と意外な視点の連続で油断がならない。

本作はどう考えたって、プロデューサーでもあるゼンデイヤを愛でる映画。
ただ愛でるだけでなく、無表情を装いつつ感情が露わになる表情とか、演技も含め初めてゼンデイヤという存在をくらった感覚。

しかし、ゲイ監督ならではというか、監督が観たいに違いない男性俳優たちのチャームを捉えるのもさすが。
ジョシュ オコナーのヤル気ダダ漏れな表情(笑)、左頬にニヤっと上げて笑う表情はとても魅力的だった。

思い返せば、過去作を含めグァダニーノ映画にセックスは付きもの。
初見ではドキドキするが、結果として、被写体が男女を問わずまるでギリシャ彫刻を愛でるような気分になり゙、セックスをするキャラクターは常にフレッシュな爽やかさと共に美しく描写される。
分かりやすく言えば、エロティックではあってもズリネタ感がない。
この点でもグァダニーノは類稀な映像作家だなと感じる。

類稀なのは音楽とその使い方も秀逸。
前作に続きトレント レズナー&アッティカス ロスが音楽担当だが、何故にこのタイミングで?と思いつつも、ビッコンビッコンに80年代後半の雰囲気を残したテクノハウス風四つ打ちサウンドが鳴り響く。
何よりも挿入するタイミングが斬新を通り越してユニーク、グァダニーノでしか体験できない絵と音のマジック。

残念なのは、運命のゲーム前日の風が強すぎる日(わざとらし過ぎ笑)の夜がちょっと間延び感があったくらいで、画的にも物語的にも最高な映画だった。
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