日本版。
予告編観た時は忠実なリメイクなのかと思ったが、然にあらず。
確かにディテールはなぞっている所も多いものの、大筋が全くの別物で藤井直人の作家映画になっている。
オリジナルはイ・ソンギュン演じる悪徳刑事と、チョ・ジヌンのもっと悪い刑事、この二人のキャラクター対抗だけで話が進行するシンプルなブラックコメディ。
ところが本作は事件の背景をやたらと複雑化し、岡田准一と綾野剛に絡む登場人物を大幅に増やしている。
もちろん近くても別の国だから、舞台を日本に移すため、ローカライズの必然性でやってる部分もあるのだが、大半は寓意性を高めるための脚色だ。
事件が起こるのを年の瀬にしたり、クライマックスの舞台とかは戯画化がやり過ぎギリギリで、実に藤井道人らしい。
人間の滑稽さは強まったが、説明要素が多くなり、オリジナルの畳み掛けるようなノンストップ活劇感は無くなってしまった。
オリジナルの脚本の欠点が改善されてる一方で、逆に脚色で不自然になってしまってる部分も。
あと岡田准一が演技で笑わせようとしてるのが、作家の生真面目な演出との食い合わせがイマイチ。
物語の骨格をここまで変えるのなら、いっそ更に脚色を強めて、別タイトルでもよくない？
これはこれで独自のテーマがあって面白いけど、たぶんオリジナルを知らない人の方が楽しめるだろう。
ネトフリにあるけど、予習はせずにこっちを観てからの方が良いと思う。
