回想シーンでご飯3杯いける

最後まで行くの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

最後まで行く(2023年製作の映画)
2.6
韓国オリジナル版では、轢き逃げ事件を起こしてしまった主人公が、その場に居合わせた唯一の目撃者である野良犬の視線にビビるシーンが最高に面白かったのに、この日本版では完全カット。

他にも、韓国版は、霊安室空調配管内での兵隊のおもちゃだとか、格闘シーンでの家具の使い方とか、ポン・ジュノ作品に通じるディティール重視の演出が秀逸だったのに、それらが全てカットされている、代わりに導入されているのは、岡田准一と綾野剛のキャラクター性を活かした顔面アップと、ド派手な効果音。

他にも、柄本明演じるヤクザの組長が登場し、お色気要員も追加。登場人物と家族の関係を深堀りする感情移入要素も特徴だ。アクション映画としては派手になったけど、韓国版の根底にあった地方の腐敗刑事 VS 本部の監査官という構図は完全にぼやけてしまった。その構図の背景には、多くの韓国映画が取り入れている、国民の警察に対する不信感があると思うんだけど、日本じゃそういう社会派メッセージは受けないだろうと判断し、敢えて方向性を変えたのだろうか。

オリジナルに忠実なリメイクとの声も多いようだけど、いやいや全然違うでしょ。僕は、映画らしい拘りとメッセージを感じられる韓国版の方が好き。っていうか、柄本明の不気味なラスボス役。もう他の映画で何度も見ているような気が、、、。良い俳優さんなだけに、そろそろ止めにして欲しい。