このレビューはネタバレを含みます
絵も音楽もお話も出てくる人たちも、とっても癒される映画だった。
主人公のトツ子は人に色がついて見えるという、言わば“共感覚”のようなものを持っている。このふんわりした感覚とトツ子の天使のような柔らかい雰囲気が映画全体を包んでいて、ずっと優しい気持ちでいられる。
道行くにゃんこに話しかけながらゆったり歩いていたら、きみ先輩の働く白猫堂に辿り着くという流れが好きだった。
そんなトツ子の憧れの人、ブルーの色を纏うきみ先輩。
この子がびっくりするような美人。
学校でもみんなに慕われていて人気のあった彼女だが、なんの前触れもなく学校をやめる。
そして、学校をやめたということをおばあちゃんに言えずにいた。
自己評価と周囲の自分への評価、求められること、それに応えないとならないことから逃れたい思い。
ブルーがとてもよく似合い、クールだが凛としたものをもっている。
そんなトツ子ときみちゃんが白猫堂で出会い、バンドを組むことになるルイくん。
彼は優しさと賢さを併せ持ったような美男子で、グリーンの色を纏っている。
そんなルイ君も親が医師をしているため医学部に通わせられているが、本当は音楽をしたいという悩みを抱えている。
そんな3人の音が、3人だけの音が、響き渡る――。
大きな変化を伴う展開は特になく、3人が小さく揺れ動く日常の中で、自分たちの色を響かせようとするお話。
トツ子が共感覚という特殊な力をもっているのに、それを出しきれていないのが惜しいと思った。テーマとしての色も、もう少し拾ってほしかった。
何よりこの映画を観たのはミスチルを聴きたかったから。
エンドロールを3人の歌で締めるというのも間違いないけれど、ミスチル好きの自分はミスチル聴けて最高でした。