映画大好きそーやさん

青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ないの映画大好きそーやさんのレビュー・感想・評価

3.1
作品としての破綻が完全に露見した、青ブタシリーズ高校生編完結作!
本作がお好きな方、申し訳ございません。
元々期待は全くしていませんでしたが、そんな期待値0の遥か下をゆく作品となっていて、最悪以外に言葉が出てきませんでした。
まず前提として本作、もとい本劇場版シリーズは、『映画』として制作すべき作品群ではなかったと思います。
そして、それは劇場版1作目の『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』から確実に言えたことだと思っています。
皆さん、思い出してみて下さい。
1作目の感動は、TVシリーズありきのものでした。
各ヒロインの物語が展開されていく中、所々に顔を出していた牧之原翔子関連の話題、先延ばし先延ばしにされた挙句、それらを回収したのは言うまでもなく劇場版1作目でした。
映画単独で観ると、思春期症候群はご都合設定にしか思えず、キャラクターもそれぞれが抱く感情も1本の作品上では料理され切れていないため、そもそも『映画』未満な作品だったと思います。
完全なファンムービーとして作っているから問題ないと主張する方もいるでしょう。
ですが、私からしてみれば、それは妄言でしかありません。
『映画』という枠組みに入った段階で、そこには開かれた観客層が寄ってきます。
全部を語れとは言いませんが、少なくとも前提知識が必要であるなら提示しておく、目配せ程度には配慮しておくべきです。
幾らでも手段はあったでしょう。作品冒頭にTVシリーズの総集編のようなものを入れ込んでおけば、大切な部分がどこであるか示せたのではないでしょうか。
尺の制限や資金繰り等の大人の事情が絡んでいることは理解できますが、『映画』を語って稼ごうと言うのならそれ相応の娯楽性は担保してほしかったです。
作画もTVシリーズクオリティで『映画』として押し出す推進力にはなれておらず、そういったアニメーションの特権すら使い熟せていません。
ハッキリ言いましょう。3作も世に送り出されることとなった劇場版シリーズは、全てTVシリーズ、もしくはTVスペシャル、OVAとして制作すべき題材でした。
さて、余談が過ぎましたが、本題に入っていきたいと思います。
先ほど述べていた話題の延長線上にある事柄に、伏線未回収問題があります。
TVシリーズであれば続きがあるからと納得できた部分も、『映画』として制作されている以上、回収されないことに違和感しかありません。
作品の性質上、理屈、ロジック、物理学風世界観が売りな訳ですから、そこはしっかり作品の体を守ってほしかったところです。
小さな伏線の1つや2つなら気にならないことですが、大々的に台詞等を絡めながら触れられるものばかりであったため、どうにも大学生編制作が決定しているからという安堵が見え隠れしているようで最低な気分になりました。
また、親子の和解、3人の家族に戻れたという描写でエンドロールにいったから良いと考えたのかもしれませんが、お腹の傷が治った描写は流石に欲しかったかなと思う自分もいました。あれだけ何度も象徴的に画面に映していたのですから、アンサーを求めたくなるのも無理ないのではないでしょうか。
お母さんの日記帳の3人を回収したかったと解釈しましたが、最後の場面でお父さんが抜きにされてるのも、うーんと頭を捻りたくなってしまう部分でした。確かに、お母さんが軸で、お母さんを受け入れる、もう一度お母さんを含めて家族となるというプロットだったので、お父さんは必須ではないと思いますが、毎度ご都合展開ばかりを繰り返している青ブタシリーズな訳ですから、ここでも同じようにご都合力業で、仕事中のお父さんを召喚してほしかったです。
掴みとして申し分ないものだったとはいえ、小学生麻衣さんの登場も説明不足で、消化不良感は否めませんでした。
咲太の思春期症候群発症がトリガーというのはわかるにせよ、なぜ小学生の麻衣でなければならなかったのかが理解できなかったです。
TVシリーズにおける咲太と麻衣さんの立場の逆転、一旦の区切りだからこその主人公の問題解決、精神的成長、王道ながら家族ものとしての筋の強度と、全部を否定できるような作品ではないですが、やはり上記のような問題点の数々は看過できるものでもなく、こういった評価に落ち着きました。
思いのほか、私のような感想を抱く方が少ないことが衝撃でしたね。本当の本当にファンしか観ていない作品になっているのでしょうか。だとしたら、私は静かに口を噤まさせて頂きます。()
さて、この辺りで締めとします。
最後の最後までお読み頂きありがとうございました。
2023年、ラストの投稿となりそうですが、どうか2024年もよろしくお願いします!(酷評レビューが最後になるとは……!来年は大絶賛で1年を終えたいですね笑)
※文章を読んでわかったとは思いますが、私は原作未読、TVシリーズ、劇場版過去2作を観た上で、本作を鑑賞しました。
もしコメントをしたい方がいるならば、この情報を頭に入れた上でよろしくお願いします!
同じ意見の方がいましたら、お話聞いてみたいですね。良かったら是非に!