普通に良くできたアニマルパニック映画!
監督を務めたエリザベス・バンクス。
前作のリブート版『チャーリーズ・エンジェル』の印象がめちゃくちゃ悪かったものありますが、鑑賞前は出オチ映画の可能性も捨てきれず、期待半分、不安半分な感じで鑑賞しましたが、予想以上に良くできたアニマルパニック映画でした。
80年代で実際に起こった出来事をベースにしているとはいえストーリーは映画用に作られたモノ。実際に起こったことは麻薬密売人が飛行機で運んでいたコカインがジョージア州の森林公園に落ち、そのコカインを食べたクマが過剰摂取で死んだというもの。
そのエピソードをめちゃくちゃ盛りまくって映画化されたのが本作『コカイン・ベア』。不謹慎とはいえコカインでハイになったクマが人を襲うという今までありそうでなかった物語なのでアニマルパニック映画としてめちゃくちゃ面白い。
ただ本作はコメディ映画として製作されているので、アダム・マクドナルド監督の『ブラック・フット』みたいな超怖いクマ映画を期待すると物足りないかも…
けど個人的にはこの緩い80年代テイストがたまらない。
『ジ・アメリカンズ』でケリー・ラッセルと共演したマシュー・リースがまさかの役で登場するゴキゲンな始まり方。そしてクマの生態を真面目に語ったと思いきや、"出典 ウィキペディア"というギャグ。この時点でこの映画は頭の悪〜いおふざけコメディ映画だということを提示していたのも面白かった。
また何気に本作、場面が少ない脇役含め、各登場人物のキャラ立ちがかなりよくできており、大袈裟抜きにコーエン兄弟の映画を連想させるくらい群像劇としても面白かったです。
"親子愛"が本作のテーマの一つとして存在します。
ケリー・ラッセル演じる母親とブルックリン・プリンス演じる娘。
オールデン・エアエンライク演じる息子とレイ・リオッタ演じる父親。
親子の中には実はクマも含まれていたりするなどちょっとしたユーモアも楽しかったです。
彼らのドラマを描き、序盤のとある設定や台詞などが後になって活かされたりするなど脚本が何気によく出来ている。
そして本作が遺作となったレイ・リオッタ。僕はこれが彼の遺作で良かったです。エンドクレジットには彼への追悼メッセージが付いていたもの感動しました。
確かに緩いところはめちゃくちゃ緩い。
裏切り者だった女性警官が野放しなのも少し疑問だったり、クマが撃退されなかったことも……
ただこれは続編への伏線なのかも……
もし続編が作るなら『コカイン・ベア ニューヨークに行く』でお願いします。