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インフィニティ・プールのナーオーのレビュー・感想・評価

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)
4.0
『ポゼッサー』に比べるとエンタメ性は高いけど、それでも人を選ぶ……

デヴィッド・クローネンバーグの息子であるブランドン・クローネンバーグ監督最新作。監督デビュー作『アンチヴァイラル』だけ未見。

『ポゼッサー』はフィリップ・K・ディック風味なサイバーパンクでありつつ、父親譲りの生々しい人体破壊描写やアナログ感ある独特な映像が強烈で忘れ難い作品でした。しかしアート色が非常に強い作品なので好き嫌いはっきり分かれるタイプの映画だったと思います。

その『ポゼッサー』と最新作『インフィニティ・プール』を比べると本作の方がまだエンタメ性は高い。なので『ポゼッサー』が合わなかったという人も本作なら楽しめるかも。

とはいえ、決して万人向けではない。
クローネンバーグ家の人間が普通の映画を作るわけがない。

主演のアレクサンダー・スカルスガルド。近年はロバート・エガース監督の『ノースマン 導かれし復讐者』やラース・フォン・トリアー監督の『キングダム エクソダス』などなかなか変わった作品ばかりに出演している印象。

ゴリゴリマッチョなヴァイキングを演じた『ノースマン』もなかなか変態チックな作品でしたが、本作はもっと変態的。

例えるなら、『ノースマン』はカップルが遊びでやる変態プレイ。そして『インフィニティ・プール』はプロの変態がやる本物の変態プレイと言ったところでしょうか。

クローネンバーグ映画の魅力の一つであるガジェット。本作のガジェットはクローン。このクローンの製造過程はいかにも監督の拘りを感じさせる実験的なサイケデリックな映像にはクラクラさせられました笑

このクローンの"身代わり"をいいことに最低の限りを尽くす金持ちたち。自分の代わりにクローンが処刑されるのを笑いながら見ている姿は恐ろしかったです。

ただある場面から主人公たちは本物の人間かクローンか判別できなくなる。本物だと言い切れないというのが本当に意地悪極まりない。

そしてミア・ゴスは最高。
『X エックス』や『パール』、今年はその続編の『マキシーン』も待機中。本作は絶好調のミア・ゴスの新たな代表作になること間違いなし。

ミアに手コキされて情けない喘ぎ声を披露するアレクサンダーが見れる最初で最後の映画だと思うなので、ファンは必見です笑
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