ナーオー

ロードハウス/孤独の街のナーオーのレビュー・感想・評価

ロードハウス/孤独の街(2024年製作の映画)
5.0
1989年のオリジナル版を余裕で上回る完成度!!

当初はニック・カサベテス監督でUFC女性王者のロンダ・ラウジー主演で企画されていたリメイクでしたが、色々あってダグ・リーマンとジェイク・ギレンホールに。

リメイクである本作を観る前に元となった1989年のパトリック・スウェイジ版も鑑賞しました。あちらはいかにも80年代アクション映画らしさ全開のイケイケ感が満載であれはあれで面白かったです。ただ漫画のようにキザで今の時代からすれば普通にダサい主人公やこだわりのない格闘アクションなど残念な部分もありました。

その89年版とリメイクである本作を比べての感想になりますが、先に結論を言えば80年代らしい乱暴な作風はそのまま、あらゆる面で89年版を余裕で上回る傑作でした!

傑作『バリー・シール』や『ザ・ウォール』といった泥臭い犯罪映画や戦争映画なども手掛けていますが、どちらかの言えば『Mr.&Mrs. スミス』や『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のようなアクションはアクションでもなんか緩い映画やSFばかり手掛けるイメージだったダグ・リーマン。ハードで激しいアクション映画を撮るという印象があまりなかった彼がこういう男臭い、昔ながらのアクション映画を作るってことが意外でした。

89年版でスウェイジが演じた主人公は素性をあまり明かすことがない、ひたすらクールな主人公でしたが今回のリメイク版は元UFC選手で、おまけに自殺願望の持ち主というジェイク・ギレンホールが演じるだけあって、狂った感じが最高でした。絡んできたチンピラたちをボコった後、自ら車を運転して病院まで運ぶというリメイク版ならではのユーモア。少しトム・クルーズの『ジャック・リーチャー』に近い"おかしさ"がリメイク版主人公最大の魅力。

ちなみにここのチンピラのリーダー格を演じているのは『マヤンズMC』のJ・D・パルド。彼がバイクに乗って現れるという… 『マヤンズ』オマージュも嬉しかったところ。

そして本作が本格的な俳優デビュー作となるコナー・マクレガー。演技力が良いという訳ではないけど、本作のMVPは間違いなくコナー。客観的にみたGTAの主人公ばりに極悪のかぎりを尽くす… 観た人誰もが彼を好きなると思います。

またリメイクならではのアレンジ。
オリジナル版ではサム・エリオットが演じていたダルトンの旧友の助っ人相棒がいましたが、今回のリメイクではそのキャラクターはカットされ、その代わりに本屋の子供がいます。この利発な子供という存在は本作の脚本を務める『ナイスガイズ』のアンソニー・バガロッツィらしさだと思います。

なによりも今回のリメイクはラストが結構違う。

オリジナル版はダルトンが悪党達を全員倒して、愛する女と結ばれる… というラストでしたが、リメイク版はダルトンの秘めた暴力性、その危険な人間性を変えることはできず、一人で街を去る… というもの。

良かれと思って行ったことが、周りの人、特に"愛する人"にドン引きされてしまう… という個人的に『ランボー 最後の戦場』を連想しました。

このラストにしたことにより、ダルトンが街から街へ… 悪党達を成敗する、それこそ『ジャック・リーチャー』みたいにシリーズ化も作れると思うので、是非とも『ロードハウス2』が観たいです〜
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