とても面白いテーマであるはずなのに、劇中で語られる虚構性なるものがドキュメンタリーの虚構性とかそういうレベルではなく、単に作り手の自意識としてしか感じられないのがとにかく薄ら寒い。
オリジナル「日の丸」の企みを現在やってみての被写体が起こすリアクションなど「企画時点でわかっていたこと」なのでは?というかわかっていなかったと言うならばあまりにも想像力が足りないのではないか。
それでいてオリジナル番組のインタビュアーの女性が語った演出サイドの加害性(被写体に対する暴力性や、インタビュアーを務めた2人の女性への演出的な強要)が際立って見えたのにそこには突っ込まない。
結果作り手が堂々巡りをして「わからない」という結論に辿り着くならば良いが、途中から作り手が「僕がわからなかったというドキュメンタリーにしよう」とし始めたのが丸分かりでそれもまたしょうもない。
アングラ時代の杵柄でそれっぽい話しかしない安藤紘平のインタビューなんて置きにいった以外なんの価値もないよ。
寺山、萩元、村木の挑戦すらも貶められてしまったのが残念でならない。
あとカメラには暴力性があって必ず撮り手のスタンスが問われる。それはもう「超当たり前のこと」であって画面に自分が登場したら加害性がちょっとフラットになっているみたいなこと思ってないよね?自分が出る演出の意図何?
引いた話で申し訳ないけどTBSドキュメンタリーがこの監督を若手のホープとしてラッピングしているように見えるんだけど、全然あかんよこれ。プロデューサー何やってんの。