クローンSFにタイムリープSFの要素の味付けもある作品ですが、どちらも人間の実存について考えさせられるジャンルでいつも興味深いジャンルだなあと思います。
人生や個人というものが他に代えの効かない唯一無二のものという綺麗事がこのジャンルでは通用しません。特にクローン技術などは現実に出来てしまっているので、本作のような事はやろうと思えばいつでも可能だというのが恐ろしいですね。
本作は全体的にコミカルな描写が多いのですが、一皮剥けば醜悪で反吐の出る恐ろしいディストピア世界を描いているのでこれっぽっちも笑えません。
更に本作は「ダンス・ウィズ・ウルブス」や「アバター」と同じく、先住者の住む世界を侵略し、略奪するという人間の悪虐非道も描かれ、観ていて本当に腹が立ってきます。
科学技術や医療の進歩を人間がどう扱うのかというテーマを説教臭くなくコミカルに描いた秀作でした。