大島育宙

君たちはどう生きるかの大島育宙のレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.9
朝イチの回で鑑賞。複数鑑賞後、加筆可能性あり。

キモカワクリーチャーや動物群大量出演、落下や飛行のモチーフ連打のアニメ的快楽に溢れた映画だった。鳥の群、カエル苦手な人は要注意かなあ。自分は好きなので楽しめた。巨大魚の魚の内臓を捌くところや、アオサギの形態変化など、まさにアニメ的センスオブワンダーだ。それだけで観た価値がある。

宮崎駿の自伝的作品との触れ込み、そっちが駿か!という驚きも。世界の劣化を嘆く世代と希望の世代の継承の物語。こんな世界でも友達と生きる。ラスト20分くらいは「こんなクソ世界で私は友達ができなかったが次の世代の君たちは友達と仲良くやれよ…」という宮崎駿という天才の孤独が詰まってると解釈できてしまって泣けた。

宮崎駿が徹底して描いてきた地球愛と表題「君たちはどう生きるか」がブレない、集大成の心意気を強く感じた。


しかし、(以下ややネガ感想)
父権の継承と母性信仰(しかもダブル母)という話であることは否定しがたく、作家のエッセンスを純度100%に詰め込んだ結果、前時代的な映画になるの切ないことだなと思う。これまで客観性を保つために主人公を女子にしてきた(と公言してる)宮崎駿なのだから、今回も女子主人公で良かった。


キャラや場への愛着が生まれにくいので、全てを伏せた宣伝も正解だったと思う。アオサギ以外に愛嬌がない!場にもキャラにも!だから内容的に宣伝のしようがない!