ブタブタ

君たちはどう生きるかのブタブタのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
5.0
「デヴィッド・リンチか?」って意見もあったけど正に。
ユラユラと揺らめく人や炎はドイツ表現主義、
『泥だらけの虎』のミリタリー趣味、湯婆婆と言うより『DUNE』のベネ・トライラックスみたいな婆集団…
ネタバレ無しで言えるのはこの位か。

宮崎駿監督の今度こそ本当の引退作(?)
『風立ちぬ』『千と千尋の神隠し』『思い出のマーニー』『ハウル』『ラピュタ』…
こういう作品を見せられるとやっぱり本当に最終作、宮崎駿の作家としての幕引きを見せられている様で寂しい。
ホドロフスキーも『自伝的三部作』で映画人生、我が生涯の幕引きに取り掛かってる様でホドロフスキーも『DUNE』を撮ろうとして頓挫。
宮崎駿も最初『DUNE』又は『ゲド戦記』を撮ろうとするも実現せず原作から立ち上げた『ナウシカ』を作ったのは有名な(?)話ですが、奇しくも『DUNE』をとりあえず完成迄漕ぎ着けたのはリンチのみ。

やたらと『DUNE』を引き合いに出してますが『君たちはどう生きるか』は宮崎駿版『DUNE』でもあるのでは?
それもポールが主人公の『DUNE砂の惑星』ではなく何度もクローン再生されるダンカン・アイダホが主人公の後半部分『砂漠の異端者』や『砂漠の大聖堂』といった高次元での超能力者、異能者達が繰り広げる最早常人凡人には預かりしれぬ異次元での精神バトル。
最後の方に登場する「浮かぶ岩」何て正にメビウス(ホドロフスキーの『DUNE』の絵コンテと言うか全てのビジュアル担当だった)が描く世界。

正直メッセージ性とかどうでもいい。
庵野秀明監督の『シン・ナウシカ』にジブリ・オールスターズみたいな映画を永遠に見たい。
『思い出のマーニー』の米林宏昌監督=スタジオポノックの新作を予告でやってたけど何か「ジブリから離れたい」のか「ジブリみたいのが作りたい」のか分からない。
前作の魔女のもそうだったけど中途半端にジブリ感があってこれからもこの「ジェネリック・ジブリ」みたいな作品を作り続けるのだろうか。
この『君たちはどう生きるか』で宮崎駿監督は意識してるかどうかは知らないけど「こういうのでいいんだ」って方向性を示した様に感じるのだけど。
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