くさば

君たちはどう生きるかのくさばのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
5.0
この作品は情報がほぼない状態で観るのが一番だと思いました。けっこうなリスクだと思いますがそういう策を制作側が取ってくれたことを強くありがたく思います。

タイトルを借りた本も読んだことない状態で、これから1ヶ月くらい忙しくなるし今のうちに観とこ!と思って初日に観に行きました。

宮崎駿監督が、82歳になって映画で、この時代を生きる我々に伝えてきたメッセージを感じとった時、まともにくらいすぎてめちゃくちゃ泣きました。

EDでは涙伝うくらいだったけど映画館のトイレにこもってめちゃくちゃ泣いた(個室長時間使ったのは申し訳ない)
でも同じく鼻を噛む音が聞こえてきて、同じような人いるんだって思った。これ書いてる時も泣いてるし余韻に浸りたすぎてボケッとしてます。

この作品が人生で一番泣いた映画になりました。

以前くりぃむの上田さんが、いい映画を観ると歩いて帰りたくなるって言っていて、今まさにそれだな〜と思ったけど徒歩は無理な距離なので電車で帰りました。

風立ちぬから7年、早い!という感じだけど身体も脳みそも老いて大変だよと思ってたけど以前より登場キャラの表情や仕草から感情読み取れて成長したなあというのも嬉しかったです。幼稚園生や小学生にとってもののけ姫は面白いけど怖くて難解なもので、千と千尋もよくわかってなかった。分からないなりに面白い存在だったジブリを、大人になっても泣くくらい理解できる、歳をとって良かったと思いました。

私がヴ!!!となったのはラストの方の大おじさんのセリフなんですが、ニュアンスは覚えててもどんなセリフだったか脳みそが焼き切れて曖昧です。ここに全てが詰まってるなと感じました。何回でも観たいです。

少しだけここのレビュー覗いたら、よく分からなかったといっている人がいて、確かにそういう部分はあるけど大おじさんが主人公に対して言うセリフで生涯に残る映画体験となったと思います。印象的すぎて印象しか残ってないけど。

宮崎駿ワールド全開でしたけど、そこを取って集大成!というのは違う感じがします。もっと狂った執念があったと思います。こっちに訴えかけようとするのにあの手間を考えると恐ろしさを覚えます。「らしさ」だけではないです。

制作期間中、ウクライナの戦争やヘイトクライム、利権に夢中な企業や政治家、貧困などによる断絶に悲しくやり切れない気持ちでした。有名人が自殺されたことも苦しく思ってました。それでも、そんな世の中に御大が渾身の作としてこの作品を世に出してくれて、メッセージをくれて本当に嬉しいです。

客席は退勤後だったのでほぼ埋まってました。20〜30くらいの男性がやや多い印象でしたが男女比は6:4くらい。新宿という土地柄か外国人の方も数人観ました。見た目でわかる人も、中国語で話してる人も。そういうのも劇場で見れてよかったです。
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