Schiele1918

君たちはどう生きるかのSchiele1918のネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

冒頭が白眉。
炎と無数の群衆と全てが溶け合って無限地獄のように蠢くシーン。
産み出された冥界より苦界と化した現実の怖ろしさに胸が湧いてしまった。

どう生きるかは選べるか?多分そう。
犠牲のもとに食い奪い与えなければ友だちになり、愛を手に入れることもないことは冒険によって手にした一番の宝となる経験。女たちの抱擁と笑いに支えられた旅は埋められない欠落を補って余りあるものでもあったはず。
黄泉の旅路から帰って、新しい世界を作り出す力とともに枯野・東京に帰る眞人。
前作の主人公堀越二郎と比べると、大きい違いとともに共通点もある。黄泉からのメッセージ、生きてほしいと願う言葉。
全てが終わっても、全てがやり直しでも、生きる他ない。そういう意味では選べない。
どう生きるか、はまず生きるための肯定のメッセージ。

宮崎駿監督、スタジオジブリと関連する世界の物語と読む向きはあると思うけど、折角なので一遍のおとぎ話として受け止めたい。
それにしてもどれだけ焦点を絞っても、大叔父が異界に詰め込んだようにその時持てる全てを注ぎ込んで作品を作る宮崎駿監督が、いい加減塔を崩し枯野に向かおう、と伝える言葉のように思える作品だった。
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