MM65

君たちはどう生きるかのMM65のネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

純度500%のスタジオジブリで非常に良かった。
観る前ものすごく不安で、「駿のフェチにタコ殴りにされて気持ち悪くなるか、めちゃくちゃ良いかの二つに一つだな...」と腹を括って見に行ったら後者で安心した。

ジブリはやっぱり子どものための物語を描いてくれるんだ、という、逆にいうと今までの作品では示唆的だったそれがとても直接的に描かれていた。
戦争起きて、お母さん死んで、兵器屋っぽいお父さんはその妹と子ども作ってるという醜悪な大人の世界で、それでも子どもが立って生きていくためには、物語が必要である。その内容が辻褄が合っていようがなかろうがどうでもよくて、救いとしての物語、逃げ場としてのファンタジーが絶対に必要。ジブリはいつも、最後には主人公を現実に帰す。彼らがあの物語を覚えているかどうかは重要ではないし忘れてしまっても別にいい。でもそれはたしかにあったし、必要だった。

いつだって子どものためにそれを描いてきた、スタジオジブリが観れてよかった。


もう一つ、宣伝もしない、前情報もなし、パンフも売らない徹底ぶりは、最初は殿様商売か自信の表れか...とうがった見方をしてしまったけれど、そうではなくて、「おまえら自分の頭で考えろ、自分の心で感じろ、自分の足で立って、自分の言葉で話せ、おまえたちはこの醜悪な世界で生きなきゃいけないんだから」という、駿のメッセージかもな...と思った。
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