MM65

オッペンハイマーのMM65のネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

観て良かったと思う。キツい描写はたしかにあるけど、決して不誠実な映画ではなかった。

日本人にとってはあまりにも広島長崎は悲劇でトラウマなので、私自身、どうしてもこの出来事で一旦時が止まってしまう。
だが一方で、世界は今日に至るまで地続きで、水爆、冷戦、そして今の世界へと繋がっている、という当たり前のことにも気付かされる。

アインシュタインが、オッペンハイマーから数式についての見解を問われた時、「それをナチスと共有しろ」と言ったセリフが最も印象に残っている。世界に足りないのはこれだ、と思った。何もかもが連鎖反応で、現に今の世界は破滅に向かっていくように思える。


わたしにとって映画が重要なのは、自分では想像できない、新たな側面からの世界の見方を提供してくれるからだ。日本に生きている以上、広島長崎は悲劇でしかない。そのため、アメリカ人の視点からあの出来事を見ることは今までほとんどなかったし、アメリカサイドで作られたドキュメンタリーは辛くて見れなかった。でも、ノーランという監督が撮った映画作品なら観たいと思うし、こういう機会をくれて良かったと思う。

わたしは核兵器の存在も利用も許さない立場だが、だが一方で、この映画が原爆や戦争を肯定するものだとは思わない。一方で反戦映画とも思わない。僕は揺れたい、というオッペンハイマーのセリフを思い出す。映画体験として良かったと思う。
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