ユーライ

君たちはどう生きるかのユーライのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.8
素人には、正直大した映画とは思えなかった。散々作られたフォロワーによる劣化コピーを見せられたように感じる。思いの丈をぶつけているのは伝わるが、部外者には何のこっちゃ全然分からん。文脈を知っていれば楽しめるのかも知れないけれど。ジブリ諸作を筆頭に様々な作品を連想される方が多いようで、個人的には『田園に死す』。母との確執、思春期のリビドー、クソ田舎への憎悪、現実と虚構の融解、そして老いた私と少年時代の私。野郎の自意識に突っ込むと大体似たような話になる。ただ、期待していたのは『書を捨てよ町へ出よう』みたいにいきなり実写で宮崎駿が出てきて説教カマしてくる方だったんですよねぇ……。自身の体験に基づいた、マザコンを相克する少年の成長を描く児童文学と、ジジイになってしまった俺によるジブリ興亡史の二層構造が乖離していて、素直に呑み込むことを困難にしている。いきなり別の話始められても困るし、張り巡らされたメタファーに付き合うほど愛着もなければ暇でもない。だから面白がれたのは、メインヒロインが(文字通りの)ロリママである仕掛けしかない。まぁこれは百歩譲るとしても、主人公君と離れ離れになる時の「私はこれから貴方を産むんだから」「お前はいい子だね」といった台詞には仰け反らせられた。お爺ちゃんちょっと気持ち悪いよ!深夜アニメでブヒブヒ言ってる下等な萌え豚に「モノホンの業見せたろか」と凄む迫力があった。中途半端に行きて帰りし定型に沿うよりは、もっと滅茶苦茶で破綻しまくった「わしはロリママにバブバブしたいんじゃ」という御年82歳の欲望をフルチンにしてくれたら傑作になったのになー。新海先生の『すずめの戸締まり』でも思ったことなんですがね。
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