事前情報一切なしでの公開。
スラダンは元々の原作での知名度があるから分かるけど、全くのオリジナル作品ですごいことをやるもんだ。
それもこれもジブリブランドの宮崎駿監督の新作だから成り立つ宣伝をしない宣伝商法。
その制作陣の意図も汲み取り、極力情報を得ないで観ようと思ったけど、公開日を過ぎればそりゃ、米津玄師の主題歌やら、豪華な声優陣だの、ネタバレ出ちゃうよね。
戦時中から物語は始まる。
そこからして、亡くなられた高畑勲監督の「火垂るの墓」を想起させられ、作品としてオマージュしてるのかなと感じた。
ナウシカやラピュタやもののけ姫のような壮大なエンターテイメント性はない。
話としても、やっぱり過去作と比べると、そこまで面白くない。
でも、御年82歳には感じさせないイマジネーションのちからがあった。
その物語、キャラクターには、宮崎駿監督自らが経験、そして自分自身を強く投影されたのだろうことが分かる。
大叔父は自分自身なんだろう。
作品の中で大叔父は「跡を継ぐ者を求めている。」と言う。
自分(宮崎駿監督)の後継者。
作品の積み木のようにイマジネーションを働かせ、自分を超えるような傑作を作れる者を欲してるのではないか。
先に観た人はこれまでの色んな要素が詰め込まれてたって言ってたけど、頭の血や魚のはらわたがもこもこと出てくる描写はポニョのような確かに宮崎駿色は強いんだけども、その中に挑戦や新しさも感じた。
炎の描写などはそのひとつ。
アオサギおじさんやわらわらなど、相変わらず特徴的なキャラクターを作るのが上手い。
使用人の7人のオバアも可愛かった。
そして、手書きのエンドロールも良い。
宮崎駿監督の新作をまた観れた奇跡。
辞める辞める詐欺と言われても、まだまだ新しい世界を観てみたい。