Zhivago

君たちはどう生きるかのZhivagoのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.6
準ホラー映画。怪奇ミステリー。宮﨑駿の地獄物語。「イット」のようなスティーブンキング作品、ウルトラセブンのような円谷作品を彷彿させる。直接的な残虐描写はないが、その直前描写はたくさん出てくる。オウムの食人鬼が刃物を研ぐ、血がドバドバ流れる、魚の内蔵がモリモリ出てくる、死体が溶ける、ペリカンがみすぼらしく死んでいく。日本では年齢制限は無いが、アメリカではPG13らしい。アメリカのレーティングが適切だと思う。
 死がある。宮﨑駿得意の異世界モノだけど、今回は地面の下へ沈んでいく。空中浮遊は空に浮かぶのでは無く、どんどん下へ落ちていく。これまで宮﨑監督は浮遊ものをたくさん描いたがどれも天に登るものだった。しかし今回は違う。地面の下へ下へと落ちていく。そこには死と囚人と支配者がおり、再生がある。つまり地獄ってことだ。
 宇宙から飛来した物質に起因して地獄とこの世が繋がり、時間軸が無くなる。
 宮﨑駿は齢80にして地獄ホラーを子供向きに描いた。
 曰く眞人は自画像でもあり、大伯父は高畑勲だそうだ。ということは高畑が作ったのは地獄だといっている。眞人はアオサギプロデューサーと共に高畑の地獄に自ら突っ込み、継母を救い出し、死者と邂逅し、高畑と食人鬼が跋扈する地獄をブッ壊して生還する。
 少年が主人公のアドベンチャーホラーとしてみると凄く面白い。
 賛否両論だそうだが、私は宮﨑作品の中では本作が一番好きかもしれない。
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