Zhivago

銀座カンカン娘のZhivagoのレビュー・感想・評価

銀座カンカン娘(1949年製作の映画)
4.2
期待した以上に面白かった。一言で言えば「江戸の粋(いき)」が溢れている。
印象的なのは、古今亭志ん生。彼が主役なんじゃないかってくらい存在感と空気感がある。志ん生の映像はそもそも貴重なのだが、このときは戦後直ぐの1940年代。志ん生の40年代の映像っていうのは希少。しかも、彼が軽く一席やってくれる。落語ファンにとっては歴史的価値のある映像資料なのではなかろうか。場を支配する力が尋常ではなく、志ん生が当時大人気であったというのも頷ける。
銀座カンカン娘の歌は、高峰秀子が歌うものという印象だが、映画では笠置シヅ子のほうがメインで歌っているという印象。実際、役どころも、高峰秀子は画家志望で、笠置シヅ子が歌手志望だから、笠置シヅ子が歌い手メインなのも頷ける。

これまでずっと「カンカン娘」の意味するところがよくわからなかったが、この映画を観てよく理解できたような気がする。当時の銀座のイメージはトラッドでオシャレなイメージだが、ここでいうカンカン娘というのはちょっと斜に構えて尖がった女性って感じなのだ、と。強いて今でいえば、表参道・原宿の女性、って感じだろうか。
ただ、その斜めに尖った感じというのが、実は「江戸の粋」につながっているのだということを、古今亭志ん生との共演で実感した。
作品に出てくる女性は誰もかれも男性に甘えない。男性と対等であろうとしている。

戦後のすぐに、こんなに芯の強くてカッコいい女性を描いた作品があったのだというのもまた新鮮だ。

これほど歴史的な価値のある映画をこれまで観ないでいたのは、失策であった。
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