らっとちゃん

マダム・ウェブのらっとちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

マダム・ウェブ(2024年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

良いところめっちゃ良いけど、気になるところもいっぱいある不思議な映画だった😂
キャシーというめちゃくちゃ人間味のある(欠点もちゃんと抱えている)人間が人間として出来る範囲で悪戦苦闘しながらヒーローとなるまでを丁寧に描いているから、そういうキャラが合わない人・ヒーローとしての活躍が観たい人・そして予告の「本格サスペンスミステリー」を期待した人は合わないだろうなあ、って。
私は人が葛藤したり迷走したりする姿が観れるドラマ大好きだし、その中で何を選ぶかがヒーロー性だと思っているから、そこがすごく応援出来て面白かった。ただそこにのめり込んだ分、エピローグ的な部分の「キャシー、変わっちゃったな……」の寂しい気持ちもひとしおだったので、後味があんまりよくなくて残念だった。



以下、長ったらしい詳細

【良かったところ】
いちばん良かったのが、キャシーというちょっと変わったキャラクターの言動がちゃんとその設定に則っていて丁寧に描かれているところ。
真面目に生きてるけど社会とはズレてて、親子や子供に過剰に苦手意識があって、ひとり野良暮らし。ビジュアルも向こうの女性では珍しい前髪あり。ここでもうかなり好き嫌い分かれるだろうな〜っていう人としては欠点のある性格を、感じ悪い描写も含めてやっていて良い。ヒーローぽくは全然ないけど、凄く人間らしい。
ガールズ3人を相手にしたときのギクシャク感はめっちゃ子供苦手なんだろうなーってところがよく出てた。3人との会話に困った時に仕事のやり方と同じ(自分が名乗って相手の名前を聞く)しか出来ないとか。
でも目の前で殺されそうな3人を見捨てられるほど非情でもなくて。ダイナーでのエゼキエルとの邂逅を予知した時に「見捨てればいい」と言われるのも、予知であり彼女の頭の片隅にあるだろう選択肢なんだろうな、っていう揺らいでる感じが、迷える一般人で、良い。

そして、未来予知の能力の描き方もめっちゃ良かった。
能力が目覚めた時、予知どころか現実だと錯覚したり、幻覚だと思って医者にかかったり。予知だとわかってもどうしたらいいかわからないところが、予知能力って現実にあったらこんな感じだろうな〜って思う。
しかも他のパワーはないから、どう解決していいかは観てるこっちもわからないから、ずっとハラハラしながらキャシーと同じドキドキ感で進んでいける。でも物語が進むつれてキャシーは能力に慣れていって、どんどん解決方法の思い切りが良くなっていく。そのクレッシェンドが観ていて気持ちいい。トラックで看板突き破った時は「そこまでやんのかい!」と思って笑っちゃった。
予知能力モノとして素晴らしい魅せ方だった。

あと随所に散りばめられたウェブモチーフがおしゃれだった。
傘、割れたガラス、あみあみのカーテン。
エゼキエルの街中監視システムもまさに蜘蛛の巣のようだし、過去-現在-未来と繋がるのも、親子のつながり(へその緒でもある)も糸だもんね。

ストーリーも敵もシンプルでわかりやすいの、めっちゃ良い。MCUの方はなにかと情報量が重め?密度高め?な印象に対して、ソニーの方のこの軽い感じ。いいよね。


【良くなかったところ】
明らかに粗いな〜というところはいっぱいあった。壊れた盗難タクシーでずっと移動してるけど捕まらないのかなーとか、なんで3人が狙われてるのか伝えてないよなーとか、破水した時に3人を連れてく必要あったかなーとか。真に描きたい部分じゃないとこは全然捨てていいと思ってる派だけど、ちゃんとのめり込んで観ながらここまで気になるのはさすがにノイジー。前評判の先入観もあるかも、わかんない。

そしていちばん残念だったエピローグ部分。
アメコミ映画で絶対ある、最後の自作への布石は私はずっと好きじゃないんだけど、今回はキャシーが精神的にも身体的にも能力的にも急に成長したのもあって、事件解決後のキャシーは前半の丁寧に描かれた「ちょっとした能力を得ただけの一般人」であるキャシーとは全く違ってて……そこをいちばん楽しんで観たから、私が好きで応援していたキャシーはもういないんだ……みたいな、悲しい気持ちになっちゃった。次作でやってくれ~~🥲


ともあれ、ガールズたちの未来のビジュアル、めっちゃコテコテにヒーローしててかっこよかったから、いつか活躍が観たいなあ!彼女たちのヒーローとしてのスクリーンデビュー待ってます。