らっとちゃん

毒娘のらっとちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

毒娘(2024年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ずーっと嫌な予感が当たり続ける、展開のヒリヒリ感。
無音楽←→静かめ重めロックサウンドの、BGMの地の底から揺れるような不気味さと熱。
鬱屈とした日常の息苦しさが続いて、ラストの血みどろバトルの爽快さ!めっちゃ気持ちいい!!
"内藤瑛亮"味、めっちゃ堪能した!自分はこの味が好きだったんだ~~!面白かった~~~!!!

お話は「暗黒反転した『君生き』」。
人として互いを思いつつも心を開いていない、血のつながらない母と子。新しい家で、怪異に巻き込まれた先で、ひとりの人間として心を晒してぶつかり向き合う。

内藤監督らしい(と私は思っている)いい意味でガビガビした解像度(比喩)がやっぱり最高!
怖さを引き立てる為の、ホラーではある意味必須な安らぎを作らない(安心できそうでもすぐ音楽や展開でぶち壊してくる)過剰な緊張感。映画ってより漫画っぽい画の感じ。どことなくチープな印象。やっぱり重めのロック音楽。
この歪でストレスフルな感じから、最後に暴れてすべてを発散するのが気持ちいいんだよね。

ラストの血みどろ大暴れシーンでは、キャンドルの赤い炎に照らされた室内、真っ赤な衣装という世界観ゴリゴリなのが、アッパーさに拍車をかけていて、内藤監督の殺戮シーンは現代のリアルな状況よりこういうファンタジーっぽいほうがめっちゃ映えるなあと思った。好みの問題?

あとやっぱり監督は攻撃性を内に抱える人間の気持ちをわかっている人だな、って思う。「理性を持って善く生きようとする人間の、すべて投げ出して他人を害すことをいとわず暴れてしまいたい気持ち」その誘惑の甘美さや、その考えが自分の中にあることの恐ろしさ、そのぐらぐらする感覚を映画を観てて感じる。

「怪異と触れ合って心を癒す、でも心を許してはならない」というちーちゃんとの関係・結末はかなりホラー・オカルト好きの視点っぽい。恐ろしいけど魅力的、でもちゃんと線を引かないといけない、っていう。

分かったような口で監督のこと語っちゃうくらいには、アドレナリンドバドバで最高に気持ちよかった!次作も待ってます!