マインド亀

ゴジラxコング 新たなる帝国のマインド亀のレビュー・感想・評価

4.0
ゴジラが!コングが!世界とあなたの脳内を破壊し尽くす!

※BLACKHOLEにてお便り採用されました!ありがとうございました!
https://www.youtube.com/live/Vg6DlfUANfQ?t=5168

●ゴジラxコング、観てきました!キャッチコピー通り、本作は完全にリアル路線に決別し「一線を越え」てしまった作品で、鑑賞中はその偏差値低めの超展開にずっと頬が緩みっぱなしでした!

●原点回帰したゴジラのリアル路線から、歴史通り昭和の東宝ゴジラの怪獣プロレス路線(ブレンバスターまで飛び出てきます)を再び巡り直したモンスターユニバース、これはもう既定路線だったんでしょうか?前作でも大概かと思っておりましたが、本作ではさらに偏差値が下がって、まるで夢のような時間経過をすっ飛ばしたロジックや、モンスター同士のセリフのないコミュニケーションなど、観客に「もう、彼等がそう言ってるのだから仕方がない」と全ての思考力を捨てさせる攻撃力がありました。「こんなアイテム無いかなあ」「あるよ!持ってきてるよ!」これって夢の世界のお話ですよね!?

●怪獣達の演技に笑わせられたり、泣かせられたり、本作はまさにアダム・ウィンガード監督の率いる怪獣劇団の一座の巡業。「いそげ、いそげ、いそげよ!」と吹き出しがいつか出てくるのではないかと観ている間中ずっとハラハラしておりました。
怪獣王ゴジラは所詮ハチュウ類なので演技指導が難しかったのかローマのコロッセオに巣食う土鍋猫程度の演技しかさせていないのですが、類人猿にはここぞとばかりマッドマックスの舞台をお膳立てし、コングに右手のアーマーを装備させてフュリオサばりの演技をさせていました。ゴジラへの一方通行の片想いを表現するコングはまさに千両役者。怪獣達へのやりすぎなくらいの演技指導で、ウィンガード監督の「うちの劇団の怪獣たち、演技上手でしょ〜?、子役も元気な演技でしょお〜?」というドヤ顔が目に浮かびます。

●一方で、本作のイーウィス族は、61年版『モスラ』のインファント島や、『キングコング対ゴジラ』のファロ島の原住民のように、昭和の東宝特撮映画に頻出する戦前・戦後の南洋の島への幻想と懐かしさを思い起こさせ、それはそれで最高だったのですが、一番重要なイーウィス族の踊りがなかったのが少しばかり残念でした。欲を言うならば日劇ダンシングチームの踊りのマスターは必須。そして全景→イーウィス族の神殿→イーウィス族の踊りと、観客席から見た、平行移動する視線のカメラワークをしてほしかったです。日劇ダンシングチームの踊りの躍動感こそ観客の内に秘めた冒険心や生命力を掻き立てるものだと思います。

●しかしながら、観たことのない映像を見せてやる!という熱意のためだけに、なんだか良くわからないSFトンデモ設定を力技でねじ込み、怪獣達のゼロ・グラビティバトルを観させてくれたことにはめちゃくちゃ好感が持てました。
シリーズものは、やはり過去シリーズの目配せだけでなく、つくり手が楽しみながらいろんな工夫で観たことのない映像を観させてくれる熱意が大事!その熱意を本作で見ることが出来、楽しすぎて本当に感服いたしました!
人間ドラマはドンドン削ぎ落とし、一人の少女が無事生還したことには涙するものの、ブラジルやカイロの人々の多くの犠牲には目を瞑る若干の薄情感もそれはそれで制作陣の潔さを感じ、『ゴジラ-1.0』の薄っぺらな人間ドラマで若干盛り下がってた自分の気持ちが晴れるような快作だと思いました!

ドルビーシネマにて鑑賞!
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