一流レストランのスーシェフだったカティ・マリーは、有名シェフのリナ・デレトと喧嘩して店を辞めてしまう。
しかし次の働き口はなく、ようやく見つけたところは、移民の少年たちが暮らす自立支援施設だった。
不衛生な厨房に愕然とするカティであったが、厳しい状況に苦しむ少年たちと、料理を通じて少しずつ心を通わせていき・・・。
移民大国であるフランスの問題を題材にしながらも、切り口が軽快でコメディタッチに描かれていて、とても入りやすい。
成人するまでに就学できないと強制送還という縛りがありながらも、定員オーバーで学校に入れないとか、出生証明書が疑われて、骨を調べられたうえで成人判定が出されるとか、移民少年たちに立ち塞がる厳しい現実。
本来は自分の店を持ちたいカティが、そんな彼らと交流する中で、指導する力に目覚めていく流れを、楽しそうに料理を学んでいく少年たちの姿と合わせて表現していて、自然と顔が綻ぶ。
終盤、カティが料理対決番組の出演を決意するんですが、それがどう少年たちのためになるのか？
そこが読みにくいところが良いですね。
すべてを救えるわけではないというほろ苦さも見せながら、こうした活動をしている人たちが実際にいることの意義を知らしめる良作。
ちなみに原題「La brigade」は、レストランで働くスタッフの役割分担と作業責任が定められたチームのことを指すそうです。
