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ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュのMasterYuのレビュー・感想・評価

3.1
アメリカ同時多発テロからひと月後。
ドイツで暮らすトルコ移民の家族の長男が、旅先のパキスタンで拘束される。
そのままグアンタナモ収容所に送られた息子を救うために、母のラビエ・クルナスは警察や行政に駆け込むが取り合ってくれない。
電話帳で調べた弁護士ベルンハルトに、藁をもすがる思いで協力を求めるが・・・。

2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ。
この出来事で世界はまた新たなフェイズに入ってしまったわけですが、当時の欧米圏におけるイスラム系の人たちに対する視線の厳しさというのは尋常ではなかったわけで、そうした空気感というのは海外のニュースからも伝わってきていたし、またその後作られた映画やドラマなどでも取り上げられてきました。
本作で主人公のラビエ・クルナスの息子が収容されてしまったグアンタナモ収容所も、そうした映画で描かれてきて、その悪名は多くの人の知るところとなりましたが、それ故に観ているこちら側は、「グアンタナモ?大丈夫なのか?」と心配してしまうものの、本作においてはそのグアンタナモの描写はなく、無知だからこその「細かなことは知ったこっちゃねえ」というノリと、ただ純粋に息子を救い出したいというラビエ側からだけで描くアプローチの仕方が面白い。
また彼女のキャラがとにかく明るく豪快なので、重い内容なのに軽妙な雰囲気になっているのが良いですね。
電話帳でたまたま見つけた弁護士ベルンハルトが優秀な弁護士でツイていたなぁと思うと共に、ラビエとベルンハルトが息の合ったコンビになっていくところは、まるでバディムービーのようでした。
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