エス

87分の1の人生のエスのレビュー・感想・評価

87分の1の人生(2023年製作の映画)
4.3
婚約者の姉夫婦を乗せた車で事故を起こし自分だけ生き残り、そのショックから薬物中毒となってしまったアリソンとその義父となるはずだったダニエルがグループセラピーで再会するお話。

アリソンが彼女の人生をやめるタイミングは何度もあった、ダニエルやライアンやネイサンが彼女を拒絶し縁を切るタイミングも何度もあった。みんなあの事件に傷つき、人生を狂わされ、疲れ果てている。

それでも尚、関わりを保ち、向き合い続ける。それが各々前に進むということに繋がってるのがとても美しいと思った。心地がわるくなるとすぐ人間関係を断ち切りがちな自分にとっては痛烈に。やめなかったからこそ得られたあの温かい言葉たちと居場所と絆。心に負った傷に人生をコントロールさせてはいけないんだとおもう。

”こんな自分で生きてたくない、息ができない、何も感じられない”といったどん底の描写に親近感が沸きすぎてしまって、どえらく喰らってしまってる訳なのですが、誰に受け入れられる云々より先に、自分が為した全ての出来事と向き合い、受容し、前に進み続けることが真の幸せなのだなと改めて身に染みた。

そして、ここでみた不均衡な世界で何かをしでかし自責の念でいっぱいになりながらも、期待をぶちのめされながらも、”善き人”であろうとし続けた存在を忘れたくない、忘れちゃいけないなと思う。

モーガンフリーマンにフローレンスピューちゃんはあまりにも最強の組み合わせすぎていた。歌声も美しくて良かったです。(”I Hate Myself”、一生お世話になる曲かも)(劇伴も刺さるものが多くてこの嬉しさをいま噛み締めてる)

”運命は選ぶことは出来ないが、寄り添うことはできる”
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