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落下の解剖学のエスのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.8
歪曲、誇張されていようが関係ない。証拠が十分にない法廷では主観が全てであり、記憶を元にした真実が如何に脆いか。

物事には色んな事情が絡んでいて、色んな意味が込められていて、色んな条件が揃ってそれが起きる。そんなのが無数に詰められている世界。全てを知るのは不可能に近いし、”知っている”というのも主観に過ぎないのかもと色んな考えを観客に巡らさせる重厚な2時間半。

想像を真実だと思ってしまう危うさを改めて思い知らされたし、言葉巧みに御託を並べられてしまえばぐうの音も出なくなってしまうことにゾッとしました。なんたる追体験。

そして絶望に満ちている時やネガティブな感情が舵をとっているとき、今まで感じていた喜びや慈悲や愛が無かったことになってしまうの、めちゃくちゃよく分かってしまってうわ〜…となった。映画って最高だなと噛み締めています。

鑑賞したのめちゃくちゃ前ですが、未だに真のPimp(裁判言及され、歌詞が〜と指摘受け即座に”流していたのは歌無しだった”と張り合うシーン好きすぎ)をapple musicでみつけてずっと聴きながらニヤニヤしてるし、ザンドラヒュラーの破壊力がえげつない”You're not a vicim, not at all”のシーンを見返しては圧倒されながら落ち込むのを毎日のように繰り返しています。今年の一番の演技じゃないかなと個人的には思う。関心領域もたのしみ。

オスカーでも注目をかっさらっていたスヌープ演じるメッシ(字面だけでもうくすぐったい)をやっと見れてよかったし、やっぱりめちゃくちゃ芸達者で可愛かったです。絶対将来わんちゃんと暮らそう

ジャッジングなんて誰もすべきではない、けど世界の一員である以上、意志は持たざるを得ないという矛盾。客観的事実と主観的事実、優劣をつけていいのだろうか。
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