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ファニー・ページのエスのレビュー・感想・評価

ファニー・ページ(2022年製作の映画)
3.8
夢を追うことを美化しない、洗礼のような作品。

カートゥーン作家を目指す高校生のロバートは恩師の死に直面し、高校を中退し、夢へ否定的で安定した職に就かせようとしてくる弁護士の両親の元を離れ、少ない有り金を握り締め、治安の悪い半地下でやばい中年たちと暮らしながら独り立ちしようとするお話。

序盤から急に全裸になったり、主要人物ほぼナードで不器用で、会話が全然噛み合ってなかったり、ほぼみんな余裕がないからこそ喧嘩腰で攻撃的で、生きてるの全然楽しそうじゃなくて、それが生々しくて、けどくすぐったくて好きでした、序盤は。夢を持って行動することはめっちゃ良いだろなんて思ってたら、ロバートという人間、今まで裕福な家で難なく過ごしてたもんだから、知る由もなかった色んな辛辣な現実にぶちのめされ、一緒に自分もダメージを喰らう。笑 エンディング時にはかなり瀕死でした。きつい。

ただこうやって傷つきながら色んな決断をして、大人になっていくんだろうなぁ、としみじみと感じさせられたし、”芸術家はなりたくてなれる訳じゃない”という迫真のウォレスが脳裏に焼き付いている。あの事件があった後で、それぞれどういう道に進んだんだろうか。
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