安積

風の谷のナウシカの安積のレビュー・感想・評価

風の谷のナウシカ(1984年製作の映画)
5.0
初めて見たのはいつだったかも覚えていない
幼い頃からテレビで何度も、それこそ台詞を覚え込んでしまうほどに繰り返し見てきた作品を、この機会に劇場で見てきた
ストーリーの素晴らしさは今さら語るまでないので割愛する


金曜ロードショーで放送した故水野晴朗解説のナウシカを、ビデオテープに3倍で録画し、ブラウン管の小さなテレビで見ていたのとはまるで違う体験だった

小さな白い点にしか見えなかった腐海の胞子が*に描かれているのも、蟲や艦の細かい書き込みも、大きなスクリーンで見て初めて気がついた
何より、映画館で見る音響の素晴らしさ!
あんなにも繊細な音づくりをしていたとは
(公開当時劇場に見に行った紅の豚で音作りも拘りがあることは知っていたが)

逆に意外だったのは、思った以上にセルが動いていなかったことだ
それでいながら迫力のある画作り
今時のCGを豊富に使った画とは方向性が異なるが、制限された中であれほどの動きを生み出せることに、今さらながら宮崎監駿督の才能の凄まじさを感じた

だれることなく、2時間弱という長さを一切感じさせないストーリー展開は素晴らしいの一言に尽きる


今やスマホでも家のテレビでも、いつでも好きなときに好きな映画を見られる時代となったし、私自身その恩恵に与っている内の一人でもある
勿論それは素晴らしいことだし、そういう視聴環境こそが適した作品も増えてきていると思う

しかし、ナウシカは、映画館で見ること、その体験の醍醐味を十二分に味わわせてくれた

映画館以外の選択肢が増えたからこそ、映画を映画館で見るという体験の意味や価値を見直す時期に来ているのかもしれない


本当に心から満足のいく時間だった


叶うならば、宮崎駿監督に、原作のままのナウシカを50話くらいかけてアニメ化して貰いたいものだが……まあ、叶わぬ願いだろうなぁ
安積

安積