千年女優

ザ・キラーの千年女優のレビュー・感想・評価

ザ・キラー(2023年製作の映画)
4.0
暗殺業を生業として長い冷静沈着な男で、周到な計画を確実に実行する信念を貫いて失敗しらずのザ・キラー。ターゲットを追って訪れたパリでも入念な準備で実行の時を待つ彼が、ミッションがまさかの失敗に終わったことで恋人を襲撃され、怒りのあまり復讐を遂げようと手がかりを追って世界各国を駆け回る様を描いたスリラー映画です。

作品を発表する毎に称賛を集めるデヴィッド・フィンチャーが、フランス人作家アレクシス・ノランのグラフィックノベルを前作『Mank』に続いてNetflixオリジナルとして制作した作品で、配信に先立って9月にヴェネツィア国際映画祭で公開されると演出と主演マイケル・ファスベンダーの演技が称賛されて金獅子賞へとノミネートされました。

お話自体は一本道の復讐ノワールで、主人公のモノローグで展開されるとあってゆったりとした立ち上がりながら、ひとつまたひとつと積み重ねる度求心力を上げていきます。主体を際立たせるフィンチャーらしいこだわりの演出は美しく、物流盛んな現代を皮肉る物語とファスベンダーのポテンシャルを最大限に引き出すセクシーな一作です。
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