のぢ

ザ・キラーののぢのレビュー・感想・評価

ザ・キラー(2023年製作の映画)
4.1
『ザ・キラー』を見てきた

ある殺し屋が仕事に失敗し、報いとして妻をこっぴどく痛めつけられる。復讐を誓い、残された僅かな手がかりから妹を傷つけた犯人たちを凍傷のように末端から鋭く追い詰めていく…

マイケル・ファスベンダー演じる殺し屋が、静かに無駄なく行動して殺していくから緊迫感あるけど、なんだか機械っぽい
と思いきや後半に連れてエゴがむき出しになっていくのを、「計画通りに、即興はなし、リスクに見合う戦いをしろ。感情移入するな、感情移入は弱さを招く。全てを上手くやりたいのなら…単純だ」とエゴを抑え込む自制心の強さで研ぎ澄まされていくナイフのような視線と精神が印象的だった
1人殺す度に、劇場内がピリピリと凍っていくようなあの感覚は映画館じゃないと味わえないと思う

徹底して無駄を削ぎ落とし、最小の労力でデカい報酬を得る
派手さはないけど、そこにはたしかにプロの技が息づいていて、その機能美にカッコ良さを感じるようになる
タイトルも「ザ・キラー」と、無駄を極限まで省いた無骨かつ洗練されているように思えた
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