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ザ・キラーのJTのレビュー・感想・評価

ザ・キラー(2023年製作の映画)
4.2
面白い。完璧主義者で知られる監督のフィンチャーはこの作品を通して自己批判、自嘲している。人が大なり小なり抱えてる人間の変質性みたいなものを滑稽に描いている。暗殺者の一日と仕事の流儀とその哲学。感情を捨て全てを計画通りにこなす男に起こる不測の事態に男の原理が崩れ出す。数多の思考を巡らせ、数多の中の僅かな成功を築き対峙する自己概念。暗殺者の非日常を人間社会の日常に落とし込み、何者も何者でなく、誰もが大きな枠組みの渦中にいるのだと、ここまでの巨匠が認識していることがある意味での希望になっている。
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