延々と歩く

ザ・キラーの延々と歩くのレビュー・感想・評価

ザ・キラー(2023年製作の映画)
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 「セブン」「ファイトクラブ」のデヴィッド・フィンチャーが手掛けるサスペンスアクション。口封じのために迫りくる追手や「依頼主」への復讐のため、殺し屋である主人公が世界中を駆け巡る。

 登場人物みなが「私、失敗しないんで」的なドヤ顔かましてるわりに大体ぜんぶ上手くいかない。そもそも口封じの発端も主人公がターゲットを仕留めそこなったからだし、それを請け負う追手たちは見た目スタイリッシュでお金持ってそうなだけで中身はタランティーノ映画にでてくるアホなチンピラみたいで「その道のプロ」っぽい凄みはゼロだし。

 みる人によっては「フィンチャー監督による真面目な振りしたコメディ」との評価であり、明確にそっち寄りだった「ソーシャルネットワーク」と同じくいまいち乗れない。個人的にはこの人に笑いの要素求めてないんだよな~。

 追手の片割れと暗闇で大格闘になるシーンはちょっと面白かった。暗い室内なので二人とも黒い影くらいしか見えないのだが、その影をCG処理で作ってるのでそこはかとなくピクサーとかの子供向けアニメっぽい。しかもCGだから生身のスタントマンなら危険で出来ないボッコボコのぶつかり合いになっている。

 フィンチャー氏にとってネトフリは作品を完全コントロールできる理想の環境なのかも知らんけど、そういう「誰も口出ししない」環境がほんらい作品に必要な緊張感なり刺激なりをそいでいないか。技術的には一ミリの隙も無い出来栄えから、何か感じなくもない。
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