て

アンダーカレントのてのネタバレレビュー・内容・結末

アンダーカレント(2023年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

 夫に失踪された銭湯屋奥さんのヒューマンドラマ。
 アンダーカレントというタイトルの通り、他人に示す行動に直接表出しない考え、感情の動き様、また逆に表の出来事、会話によって動く様がとても面白かった。特に新たに出会った人も失うことを予期してしまう主人公、責任から逃れてしまう旦那、旦那と重なる様に立ち止まる堀さんは深い部分の見どころだったと思う。日頃から将棋相手をしていたポップなタバコ屋のおじいちゃんが、素性を見抜いていて、心の奥底の決定を揺るがす会話を展開したのは驚きで、面白かった。
 おじいちゃんの「人は他人の世話になっていくもんなんだよ。」はとても印象に残るフレーズだった。
 また、人を分かるとは何か、答えを定めない探偵が、最終的に奥さんの心をうまく捉えていた点も面白かった。人間、外見のありさまに限って図れるものではないのだろうと考えを改めさせられた。

 自分の友人は自分が気づいていなかったストーリーの描写を理解していて、そこが楽しそうだった。理解できていなかったからという部分もあるとは思うが、自分の楽しみの主軸はそういった細部に宿るものではないと思わされた。一方でそういった文学的?な楽しみ方もあるのだと知った。これもこれで面白いとは思うので、自分も初見でもっと理解できるようになりたい。
て