このレビューはネタバレを含みます
「彼は私に、そういう本当の気持ちを話そうと思えなかったんだって、それが結構きついよね」
よう子と喫茶店で話す場面の、下手するとすごく説明的でうすっぺらくなるこの台詞を"登場人物達が言っている"ように、人物を生きていたキャスト陣の演技が見事。
もっと本心で話し合っていたらどうなっていたかな？と、かつて恋人や友人と別れた時に何度か思った場面を、つられていくつか思い出しました。
悟は最低だけど、こういう人いるよな……。本人も何が本当で何が嘘かわからなくなっちゃってるの。
悟の生い立ちや、どうして2人は付き合い始めたのかなども見てみたい気もするけど、観客の想像に任せた方が味があるのかな。
たばこ屋のおじさんや、お母さんが迎えに来るまで子どもを銭湯で預かってあげてる田舎の雰囲気もよかったね。
全てを明かし、本音で話し、それで一緒にいることを選んだ2人と一匹の後ろ姿にほっとした。
追記
レビューを読んでいると悟に全く共感出来なかったという感想と、気持ちがわかってつらかったという感想もあって興味深かったです。
人間みんなそれぞれ抱えてるなぁ。
かなえも堀さんも、ミステリと言う勿れの整くんから「カウンセリング受けてみるのもいいと思いますよ」と言われてほしい。
無力な子ども時代に受けた悲劇の自責の念からいつか2人が解放される日が来ますように。
