kao

アンダーカレントのkaoのレビュー・感想・評価

アンダーカレント(2023年製作の映画)
3.3
風呂屋が舞台である。
湯船につかる時間というのは何人たりとも素に戻り、つらつらと考える、そんな場なのだろう。

キャストは全員よかった。初めて観た俳優さんもいて、特にタバコ屋のおっちゃんもいい味の語り口調でした。

真木よう子さんの水中にザブーンのシーンの美しさったら、、、。

ラスト、瑛太さんがなぜ失踪したかの理由、ふわっとしてるなぁ。あれはあえての優しさのふわっとなのか。。わからない。

リリー・フランキーさんが狂言回しのように笑いを交えながらいざなわれていく妙。失踪した側とされた側の心理と過去の記憶と。まさに最近とても気になる自分にとってドンピシャテーマで、複雑すぎてレビューがまとまらん。最近、気がついたのだけれど私には12歳から18歳頃までの記憶が断片的にスコーンと抜けている。びっくりして色々調べたがそれは脳が自分を守るためにそういう機能が働いたのだから今更深堀りせぬ方がよいと心療内科の某センセの動画でそんなことを耳にした。きっと私にもアンダーカレントのように心の奥底には何か流れているのだろうな、と、この映画を観て思った。
若い頃の私は嘘に嘘を重ねていた時期があって当然苦しくなり、ほどなくして本当に心許せる人と出会ったと確信して嘘をついていた闇時代の自分も馬鹿正直に吐露し一緒になったんだけれども、それは単に自分が懺悔して楽になりたかっただけだったんだということ、そして言われた側はそれを受け入れる立場のひとではなかったなと、そのことに気がつかなかったことが今は悔しい。あげく長い長い時を経てやっぱり無理だしんどいわ俺、と。というわけでさらに何年か熟考した末、どさくさに宣言しほぼ失踪引越。独り風呂につかりながらこれでよかったのかと時折考える。

本作ロケ地が自分の住むエリアにある石乃湯さんという銭湯。これは行かねば!真木さんと井浦さんと瑛太さんがゴシゴシしたタイルを踏みしめてみたいものです。
kao

kao