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燃えるドレスを紡いでのkaoのネタバレレビュー・内容・結末

燃えるドレスを紡いで(2023年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

偶々JWAVEのラジオ番組でこの作品について中里さんのトークが紹介されていて気になって観に行った。
秀逸なドキュメンタリーなのに上映館、少なくて残念。
ぜひロングランを望む。
もしくは全国の中学高校で上映してほしい。

ポスターメインビジュアルのリアルケニアの捨てられた服の山は圧巻だった。。もうね…言葉にならん。
最近のファストファッションの消費の問題は聞きかじってはいたがこんなリアルな映像は初めて目にした。ケニアまでは行けぬが本作を上映してくれる貴重な映画館K’sシネマさんのある新宿までなら行ける。スクリーンを通してだけれども現状の映像を目の当たりにして本当に観てよかった。

安い服が溢れている世の中。確かに子育て中、子供らが小さい時にはすぐ着れなくなるし自分の給与も安いから安価なものしか買えなかったりしたのは事実。でも人生後半にきてようやく理想としては多少高くとも大事に着ていきたい自然に帰る素材をできるだけ選びたかったし、物の質と選び方や視点を子供らに教えてやればよかったと今は思う。

あのゴミの山で生活のためにゴミから売れそうなものをピックアップして生活している少年。少年がそこで生活してるということはその親もおるわけで、山のオッカサンの「何十年ここでアタシは暮らしてきたし、たいして病気もしないわよ」という言葉にはびっくり。劣悪な環境に順応する人体の不思議。当事者にとっては住めば都?いやぁ、実際大変だと思うし、外部から来た人にきれい事で否定されたくはない気持ちもあるんじゃないかな。でも少年は「いつかここを出る」とも言っていた…そりゃ理想は別の仕事を見つけて生きていきたいだろう。もし自分が若き母親としてあそこで生活せざるを得ないとしても、せめて蝿が飛んだりしない最低限の清潔な場所で赤ん坊を産んで育てたいとは思う。飽食と貧困問題とセットだ。あの場所では子供らにとっては知識と生きるための選択肢を制限されてしまうのは否めない。

第一線のデザイナーとして受けた衝撃と苦悩は計り知れないが模索しつつもパリコレで形にした中里さんはすごいと思う。悩みすぎて思考が違う方向へ向かってしまったらそれこそデザイナーとしての生命も終わってしまったかもしれない。服というものの末端まで自分の目で確かめに行く、その覚悟。尊敬する。
ケニア現地の人たちとの皮の服や鮮やかなビーズ装飾などのシーンは実に和やかで、どんな原始的な生活でも人は着飾ったりするし、それが楽しみでもあり自分たちを表現する意味のあることなんだろうな。
第一線のポジションである人が問題意識を継続して発信していったら、少しずつあらゆる物の消費のしかた、選び方、作る側の姿勢など変わっていけるのかもしれない。

明日からは捨てる前の服はリメイクできないか一度考え、またはカットして存分に掃除に使って使い倒してサヨナラしよう。足るを知るべし
by もったいないばあさん
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