りょー

ダムゼル/運命を拓きし者のりょーのネタバレレビュー・内容・結末

ダムゼル/運命を拓きし者(2024年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

Netflix版デルトラクエスト?
ファンタジー好きに一見の価値ありプリンセス脱出劇!

主演が、『ストレンジャーシングス』シリーズのミリー・ボビー・ブラウンというだけで、自分みたいなミーハーは、観ますよね。

冒頭から、従姉妹の成長を観ているような倒錯感が味わえます。


全体として、こども向けかなぁと身構えてましたが、予想以上に楽しめる要素が多い!

ストーリーは、
捕らわれのプリンセスを英雄が救いだす…Damsel in distress、という西洋古典の雛型を、組み換えた構成。

捕らわれのプリンセスが、苦境から自力で脱出するという、現代っぽいストーリーです。アナ雪や蜘蛛の巣を払う女など、色々想起させられる脚本でした。

「ドレスも案外役に立つのね」は、さすがにカッコ良いっす。

そして、
こども向けというには余りにも凝った演出や美術・衣装。お金かかってる!

具体的には、
エロディの故郷や王族の衣装、脱出する際の壁ナイフにクリスタルボルダリング、心臓迷路のイラスト、チート芋虫、赤と青の演出などなど。

でも、メインは脱出劇というワンシチュエーションなので、意外と抑制されるべき予算はされているのかもしれません。


個人的に印象深いのは、
後悔を抱えながらも親に従い、最後は罪を認め身を焼かれる王子のキャラクター造形でした。自らの力で苦境を脱出していくエロディと対照的に描かれています。親の支配や兵士からの監視、控えめな性格など、本当の意味で捕らわれていたのは王子と言ってもいい。


もし足すなら、
ポリコレよりコアな時代性(今この時代にコレを映画として制作する意義)を入れるか、作家性か、外した設定や要素を入れるかかなぁとか考えてましたが、

コレだけ企画に沿ったという意味で、純粋なダンゼルを描けるのも、コレはコレで完成系なのかなとも思いました。10年、20年前のアメリカでコレが制作されていたら、また話は違った気がします。

そう考えると、『パンズラビリンス』はやっぱりスゴい。

本作を友人にはあまりお勧めしませんが、
ファンタジー好き、ミリー・ボビー・ブラウン好きなら、観てもイイかもしれません。
りょー

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